図書館で、いつもは立ち寄らない雑誌コーナーになぜか立ち寄り、
普段は手に取らない文芸月刊誌を手に取ったら、
好きな作家の5年ぶりの新作でした。
松浦理英子さんの「希貨」、読みました。
小説家の本田がレズビアンの女友達、七島に抱いた複雑な「好意」。
性愛も友情も超えた奇妙な同居生活を描いた中篇。
この解説だけを読むと、いかにも松浦さんらしい・・・
と思ったのですが、何だかちょっとこれまでの作品とは
雰囲気が違う。
男性の一人称語りの形式のせいかな。
5年前に前作の「犬身」を読んだ時には、
実は少しがっかりしたのだけれど、
「希貨」は、とても気に入りました。
そして小川洋子さんの「いつも彼らはどこかに」
という連載の第1回「帯同馬」も、
ものすごい勢いで私を現実から引きはがしてくれて、
久々にページをめくる手が止められなかったです。
どちらの小説も女性作家による空想と現実と、
孤独と奇妙な友情が描かれています。
川上未映子さんの「十三月怪談」も掲載されています。
あれ?これ怪談なの?とちょっと恐くなってきたので
まだ途中までしか読んでいないのですが・・・。
物語の世界に久しぶりに浸ったら、
あら、まぁ最近無気力だと思ったら、疲れていたらしいのです・・・
現実世界は何だかよく分からないうちにせかせかと時間が過ぎていって、
そんな私のありふれた日常にも、ぼんやりなんかしてられないんだよ、
というメッセージをたくさん届けてきます。
でもそういう世界でばかり過ごしていると
どんどん自分の心が疲弊していくのだなと、
読書によってひっそりと癒されて気づきました。
それにしても、月刊新潮がこんなに面白いとは!
アラーキーの連載もあり、
ちょっと通勤電車で無防備にページをめくれなかったりするのも
刺激的で楽しいです。