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片思いする側より、思われる側のほうが傷つくの?

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kindleアンリミテッドの対象だったので、フランスの有名な戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」を読みました。タイトルは聞いたことがあっても、内容は知らず、あらすじだけをWikipediaで確認して読み始めたら、さすが光文社古典新訳ですよ、楽しく読めました!

「シラノ・ド・ベルジュラック」 (光文社古典新訳文庫)ロスタン  (著), 渡辺 守章 (翻訳)

シラノ・ド・ベルジュラック (岩波文庫) エドモン・ロスタン (著), 辰野 隆 (翻訳), 鈴木 信太郎 (翻訳)

戯曲というと、シェイクスピアが有名ですが、こちらは19世紀末フランスに書かれたもの。
17世紀半ばに実在した文学者シラノを英雄剣士に仕立てた悲恋物語で、現在でも上演されるほどの大人気。実在のシラノは世界初のSF小説を書いた人物としても有名です。

BSJに事例として引用

なぜ、これを選んだかというと、グレーバーのブルシット・ジョブ(以下BSJ)に引用されていて、意味が分からなかったから。以下にBSJの原文を引用しますが、ここで作者が何を言いたいのかは戯曲シラノドベルジュラックのあらすじ(シラノが従弟のロクサーヌに片思いをする)を知らないと理解できません。(あらすじを知っても、この例えがブルシットジョブに従事する人々の苦悩を表現するのに最適かどうかは、個人的にはしっくりこないままですが。。。)

One major reason, researchers concluded, was precisely the lack of cultural models. Anyone who falls in love with someone who does not return their affections has thousands of years’ worth of romantic literature to tell them exactly how they are supposed to feel; however, while this literature provides detailed insight on the experience of being Cyrano, it generally tells you very little about how you are supposed to feel– let alone what you’re supposed to do–if you’re Roxane. その大きな理由の一つは、まさに文化的モデルの欠如であると研究者たちは結論づけた。愛情を返してくれない人に恋をする人は、何千年にもわたって自分がどのように感じるべきかを正確に教えてくれる恋愛文学を持っています。しかし、これらの文学は、シラノになった場合の経験について詳細な洞察を与えてくれますが、ロクサーヌになった場合にどのように感じるべきか、ましてや何をすべきかについてはほとんど教えてくれません。
www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。

Bullshit Jobs: A Theory (English Edition) 英語版 David Graeber (著) 形式: Kindle版

作者グレーバーは前段で、リリアンというプロジェクトマネージャーの証言を紹介し、彼女の苦悩を読者に示します。それは、ほとんど何もしていない(する権限を持たない)のに、労力に見合わない高額な給与が、その役職だから与えられる、という理不尽な状態です。グレーバーは、このリリアンと、ロクサーヌの状況を重ね合わせて示すわけです。

古来から、小説や舞台などさまざまな形で片思いをする側の苦悩は描かれてきたから、多くの人は、その経験を共通認識として理解しているでしょう。一方で、慕われる側が感じる罪悪感がどれほどのものか、どのようにふるまうべきか、などのロールモデルは、それほど存在しないのです。これと同様に、働くことに関しても、リリアンのような環境に置かれた労働者がロールモデルとすべき手本を、現代社会では見つけることが困難なのです。

つまり、こういうこと?ロールモデルがあれば、そんなに苦しまなくてもよくなるってこと?一般化するから?なんだか分かったような、分からないような。自分だけじゃなくて、他にも同じ思いをしている人たちがいると分かれば、苦しみが和らぐってことは、確かにあると思いますけどね。

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参考

シラノ-ド-ベルジュラック〔一〕(Savinien de Cyrano de Bergerac サビニアン=ド─)フランスの詩人、小説家。空想科学小説の先駆者。同名のロスタンの戯曲によって英雄化され名高い。作風は奇想天外で批判風刺的。著には「月世界旅行記」「太陽世界旅行記」など。(一六一九~五五)

“シラノ‐ド‐ベルジュラック”, 日本国語大辞典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2022-01-14)

シラノ-ド-ベルジュラック〔二〕(原題 {フランス}Cyrano de Bergerac )韻文戯曲。五幕。エドモン=ロスタン作。一八九七年パリで初演。巨大な醜い鼻を持つ剣客シラノは、ひそかに慕う従妹ロクサーヌと美青年クリスチャンとの恋を、みずからの恋を犠牲にして成就させる。一五年後、尼僧となったロクサーヌは真相に気づくが、敵の陰謀で傷ついたシラノは息絶える。

“シラノ‐ド‐ベルジュラック”, 日本国語大辞典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2022-01-14)

その言語に特有の韻律の規則に従い,詩の行を形づくるように配慮して書かれた文章。この配慮のない文章を〈散文prose〉と呼ぶが,その対語としての〈韻文〉は事実上は〈詩行〉と同語である。韻律の規則を守るといっても,韻文を一読してただちにそれと認知する特徴は,韻よりもむしろ律,すなわちリズムにあると考えられる。〈韻文〉は必ずしも,作品としての〈詩〉の同義語ではない。戯曲や物語が韻文で書かれた例は多く,古代には経典や歴史,教訓などにもしばしば韻文を用いた。これは一つには韻文の方が散文よりも記憶しやすく,伝承による変形に対して抵抗力があるため,口承に便利だったからであるが,同時に,音韻形式上の配慮によって,その言説が非日常化され,特殊化されて,一種の聖性もしくは芸術性を保証されると考えられたからでもあるといわれる。今日でも,名文とされる散文はしばしば韻文の特徴をそなえているとされるが,他方,近代の散文詩の出現以来,韻文の非現実性を嫌ってこれを用いない詩人も多い。

“韻文”, 世界大百科事典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2022-01-14)

フランスの詩人、劇作家。マルセイユの教養ある商人の家に生まれ、パリ大学に学ぶ。当時流行の象徴主義の影響を受けず、高踏派の詩人ルコント・ド・リールらと交際、1890年、詩集『ミュザルディーズ』を自費出版したあと、障害がなければ恋ができないと信じていた2人の若者の恋の幻滅と再生を描く三幕韻文悲劇『ロマネスク』のコメディ・フランセーズ上演(1894)で成功。続いて、中世吟遊詩人の悲恋を描く『遠い国の姫君』をサラ・ベルナールの斡旋 (あっせん) で上演(1895)、あまり受けなかったが、ベルナールの激励でルネサンス座で三幕の聖書劇『サマリヤ女』(1897)を発表してほぼ成功。1897年、名優コクランが主宰していたポルト・サン・マルタン座で上演した『シラノ・ド・ベルジュラック』で不朽の文名を確立した。アクションと叙情を巧みに配合したヒロイズムで、自然主義に飽きていた観客からは熱狂的に迎えられ、今日も世界的名作として有名。

“ロスタン”, 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2022-01-28)
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