ふりかえりTrial&Error

高齢者を対等な人間として認めてコミュニケーションする

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ふりかえり
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スイスの公立医療型ホスピスで介護スタッフとして働き9年目になるというリッチャー美津子さんのお話を聴き、自分の考えと行動の指針になりそうな言葉を手に入れたので、忘れないようにメモしておきます。私は、医療や介護の仕事をしていませんが、自分と老親とのコミュニケーションのあり方に向き合うきっかけになりました。

10/23(土)21時〜 第52回地球市民塾 スイスの介護看護(フレーゲ)のカタチ〜外国人スタッフとしての取り組み〜(インスピレーショントーク  リッチャー美津子さん)

スイス高齢者のあり方三原則

今後、自分が老親とコミュニケーションを行う際に意識したいと思ったのは「スイス高齢者のあり方三原則」です。判断力や記憶力が低下している高齢者と接する場合、彼らの意志を尊重するという姿勢をおろそかにしがちではないでしょうか。

この三原則を意識することで、高齢者を対等な人間として認めてコミュニケーションをとり、支援を行う姿勢が意識できるでしょう。

  1. 自己決定
  2. 継続性
  3. 持てる力の発揮

運転免許証を返納しろ、自転車の運転も危ないから止めろ、など、子どもから高齢の親に対する要求は一方的になる傾向がある気がします。しかし、その要求や意見は愛情から生まれたものであったとしても、本人の意見を聞かずに、正論を押し付けるだけでは軋轢が生まれ、余計に事態がこじれる可能性も大きいでしょう。

日本の場合は世間体などが先に立つのかもしれません。そのため個人の権利や、人間としての尊厳を重視する姿勢が弱くなってしまう可能性があります。それが高齢者を含めた社会全体の幸福に繋がるのかを考えると、首を傾げざるを得ません。

介護職として働く人、そのお世話を受ける人が双方ともに幸福を感じられるしくみづくりを目指している、個人の権利と義務を重視する歴史と文化を持った国から学ぶことは有意義でしょう。

フレーゲ(Pflege)

もうひとつ、面白いなと思ったのは、フレーゲ(Pflege)でした。美津子さんによれば、具体的にどのようなことをするのか、まだうまく文章化できていないとのことでしたが「生きていてもいいんだ」と感じさせるための看護・介護のテクニックだと聞き、心に響きました。

身体的、精神的な問題を抱え、日常的に看護・介護が必要な人へアプローチする方法。五感に加えて六番目の感覚(直感、インスピレーション)を使う。病気を見るのではなく、その人自身を見て、人としてコミュニケーションを行い、問題を抱えていても「生きていてもいいんだ」と感じさせる

私自身、「こんな状態で生きていても仕方がない」「そのまま死ねばよかった」そんな言葉を耳にしてショックを受け、返す言葉を失い、どのような対応が正解なのかを見つけられず、気持ちが塞ぐこともありました。フレーゲは専門家だけでなく、誰でもが学び実践できる可能性があるとのこと。将来、そのようなプログラムが広く一般に知られるようになることを願います。

精神疾患などの治療に使われるオープン・ダイアローグ(OD)の7つの原則とも共通する考え方があるように感じたのは、人を「人」として見ようとする取り組みだからでしょうね。オープン・ダイアローグの対話実践ガイドラインからも学ぶことが多かったのですが、それはまた別の機会に書きます。

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