読書会(勉強会)課題図書

「LISTEN」ガーディアンのブックレビュー/ソーシャルメディアの功罪/幸せは別のところにある?

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読書会(勉強会)
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10月16日(土)ABD読書会の課題本は 「LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる」ケイト・マーフィ (著), 松丸 さとみ (翻訳), 篠田 真貴子 (監修) 日経BP社 です。(ABD(アクティブ・ブック・ダイアローグ)という読書形式について詳しく知りたい方はこちら

ガーディアンに掲載されているブックレビューを読んだので感想をメモしておきます。内容とは関係ないけど、LISTENの初版の表紙デザインが非常に印象的です。赤青黄に変化する細い線1本で描かれたシンプルな耳とタイトル文字が内容を的確に表現し、かつ美しい。巻貝の写真が中央に配置されているバージョンもありますが、初版の方が個人的に欲しくなるデザインですね。邦訳版も同じ装丁にしてくれたら良かったのに!

You’re Not Listening: What You’re Missing and Why It Matters (English Edition) Kindle版
英語版 Kate Murphy (著) 形式: Kindle版

You’re Not Listening: What You’re Missing and Why It Matters Hardcover – January 7, 2020
by Kate Murphy (Author)

ちょっと大げさじゃない?

さて、本題に入ります。ガーディアンの書評では、第14章「 スマートフォンに依存させればさせるほど、企業は儲かる 」にフォーカスしています。スマートフォンを使うことが一般化したことが、ますます聴くことを難しくしているのではないか、というのが結論ですね。

ただ、評者であるアメリアさんは、全面的にこの本を評価しているわけではありません。この本のうたい文句がちょっと大げさじゃないか、私は数週間前に読了したけど、自分の人生や人間関係は全く変わってないよと辛口なところもあります。

She (作者のこと) promises solutions, and the blurb on the back cover declares confidently: “This book will transform your conversations, your relationships and your life.” That is going a little far. Having finished the book a couple of weeks ago, I’d say my life and relationships remain resolutely untransformed.

You’re Not Listening by Kate Murphy review – a modern epidemic of self-absorbed talk ガーディアン 2020/1/11

でも12章のアドバイスは共感できると高く評価しています。実務的な質問は必要だけど、それだけに終始すると関係性は悪化するよ、って部分ですね。毎日一緒にいる家族ほど、こういうのって難しいんですよねぇ。

配偶者にお帰りなさいと言いながら、こう聞いてしまうかもしれません。「仕事どうだった?」「提案書は終わったの?」「金曜日、マリーさん一家を夕食にお招きする?」「クリーニングに出すものある?」こうした質問はとても友好的で面倒見が良く、相手に好奇心を持っているように思えますが、(略)

「LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる」ケイト・マーフィ (著), 松丸 さとみ (翻訳), 篠田 真貴子 (監修) 日経BP社 chapter12「アドバイスをしよう」と思って聞くと失敗する

そして、内省に関するアドバイスも楽しんだとのこと。この部分は、ちょっとターシャ・ユーリックの「インサイト」を思い出しました。

友達がこうした自己批判を始めると、私は彼女に「スパンキー」の言うことを聞いてはダメ、と伝えます。「スパンキー」とはその友達の内側にいる意地悪な声につけたあだ名です。ストレスを抱えているときに現れ、声を張りあげて無慈悲に叱りつけ、彼女を委縮させる、あの声です。

「LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる」ケイト・マーフィ (著), 松丸 さとみ (翻訳), 篠田 真貴子 (監修) 日経BP社 chapter11 他人とする会話は、自分の内なる声に影響する

きっと、あなたもこの種の切りのない内省で行き詰った経験があるだろうーーほとんど全員あるはずだ。何らかの会話が頭のなかで繰り返し再生され、自分がやったこと(あるいはやらなかったこと)について自分を責めたり、なぜ思い描くような自分になれないのかを考えすぎて塞ぎ込んでしまったりする。

「insight(インサイト)――いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力」ターシャ・ユーリック (著), 中竹竜二 (著), 樋口武志 (翻訳) 第5章 「考える」=「知る」ではない

正しく内省することの重要性は、LISTENでも強調されていますが、そこはやっぱりインサイトの方が詳しいし分かりやすいし、参考にできる部分が多いですね。

別にスマホを捨てろとは言ってない

評者のアメリアさんは、別にラッダイト運動のように過激にデバイスを捨てろとは言っておらず、ただ、私達が見逃してしまいがちな問題点を、著者のマーフィさんが指摘している点が、この本の読みどころだと考えているようでした。今後は、デジタルデトックスの重要性がさらにクローズアップされるようになる気がしますね。

デバイスは、人と親密になることを恐れる私たちを、甘やかしています。たとえせつないほどに孤独なときでさえも、社会とつながっていると勘違いさせるのです。

「LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる」ケイト・マーフィ (著), 松丸 さとみ (翻訳), 篠田 真貴子 (監修) 日経BP社 chapter18「聴くこと」は学ぶこと

英国産業革命期の1810年代、繊維工業を中心に起こった職人や労働者の機械打ち壊し運動。運動の指導者と想定されたネッド=ラッド(Ned Ludd)にちなむ。

“ラッダイト‐うんどう【ラッダイト運動】”, デジタル大辞泉, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-10-15)

《デトックスはdetoxificationの略。解毒・浄化の意》スマートホンやパソコン、インターネットから一定期間離れ、過度な依存から脱する試み。→インターネット依存症 →ソーシャルデトックス

“デジタル‐デトックス【digital detox】”, デジタル大辞泉, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-10-15)

この本のもくじ

chapter1 「聞くこと」は忘れられている
chapter2 私たちは、きちんと話を聞いてもらえた経験が少ない
chapter3 聞くことが人生をおもしろくし、自分自身もおもしろい人物にする
chapter4 親しい人との仲もレッテルからも「聞くこと」が守ってくれる
chapter5「空気が読めない」とは、そもそも何が起こっているのか
chapter6 「会話」には我慢という技術がいる
chapter7 反対意見を聞くことは「相手の言うことを聞かなければならない」ことではない
chapter8 ビッグヒットは消費者の声を「聴く」ことから生まれる
chapter9 チームワークは、話をコントロールしたいという思いをやめた人のところにやってくる
chapter10 話にだまされる人、だまされない人
chapter11 他人とする会話は、自分の内なる声に影響する
chapter12「アドバイスをしよう」と思って聞くと失敗する
chapter13 騒音は孤独のはじまり
chapter14 スマートフォンに依存させればさせるほど、企業は儲かる
chapter15 「間」をいとわない人は、より多くの情報を引き出す
chapter16 人間関係を破綻させるもっとも多い原因は相手の話を聞かないこと
chapter17 だれの話を「聴く」かは自分で決められる
chapter18「聴くこと」は学ぶこと

「LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる」ケイト・マーフィ (著), 松丸 さとみ (翻訳), 篠田 真貴子 (監修) 日経BP社

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