1月のABD読書会の課題本(ユーリックの「インサイト」)を再読しました。今回は、第10章「思い込みにとらわれた世界で生き抜き成長する」で紹介されていた「自己認識を高める7日間トレーニング」について簡単に説明します。
■「insight(インサイト)――いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力」ターシャ・ユーリック (著), 中竹竜二 (著), 樋口武志 (翻訳) 英治出版
インサイトは役立てないとムダになる
この本を読み、インサイトを得るために、「内的な自己認識」と「外的な自己認識」の両方を高める必要があることを読者は学びます。
でも、本で学んだだけでは不十分。
実際に、トレーニングをしなければスキルは身につきません。プロ選手のサッカーやテニスの試合を見ているだけで、自分もサッカーやテニスが上手になるでしょうか?
本を読んだら、7日間インサイト・チャレンジも実践してみましょう。(手帳やノートに記録を取りながら行う必要があります)
1日目 自己認識圏の選択
1日目は、自分にとって、重要な生活圏(家庭、職場、趣味のサークル、ボランティアなど)をノートに書き出します。
それが完璧な状態をイメージしてから、自分の現状を十段階で評価して数字を記入します。
三つのなかで、自分が一番向上したいと思うものに〇をつけてください。
必要なもの:ノート、筆記用具
2日目 7つの柱を検証
2日目は、本書で説明されている7つの柱(1.価値観、2.情熱、3.願望、4.フィット、5.パターン、6.リアクション、7.インパクト)について、自分の意見を語り、相手の意見を傾聴するワークを行います。
必要なもの:信頼できる人(この本を読んだ人が見つけられると良いですね)
3日目 障壁を知る
3日目は、自分の人生に生じているのではないかと思う障壁を選んで観察するワークです。
障壁の内容は、本書の3~4章で具体的に紹介されています。例えば「あまりにも自己中心な振舞いをする同僚・友人・家族」などですね。自分の身近なところで、客観的にチェックしてみることで、新たな発見がありそうです。
必要なもの:ノートと筆記用具
4日目 内的自己認識の強化
4日目は、本書で紹介されている7つのツール[1]から一つを選んで、一日実践してみる、というもの。実践した後は、成果を振り返って、学んだことを、どのように活用するかを考えます。
必要なもの:ノートと筆記用具
5日目 外的自己認識の強化
5日目は、かなりハードルが高いワークになります。1日目でノートに書いた3つの自己認識圏から、愛のある批判者[2]を選んで、意見を求めるというもの。
良い点、改善点を聴いたあとは、3Rモデル[3]に取り組んでみる。
必要なもの:ノートと筆記用具
6日目 思い込みに囚われた人に対処
ようやく6日目です。自分が知っているなかで一番思い込みに囚われている人をイメージし、3つのタイプ[4]のどれになるかを考えます。
なぜ、そのタイプだと判断したのかを考えたら、次回その相手に会った時の戦略を9つのツール[5]から練っておきます。
必要なもの:ノートと筆記用具
7日目 評価
おつかれさまでした。とうとう最終日です。1~6日までの記録を3つの視点で振り返って評価します。
①一週間前と比べて、どんなことを学んだか、②次の一ヶ月、①を活かすための目標を一つ立てるとしたら?
③自分の1週間チャレンジを仲間と共有してみよう
必要なもの:ノートと筆記用具、仲間
相手が必要なワークは、少しハードルが上がりますが、いずれ誰か最適な人が見つけられるまで、ノートに記録を残しておくだけでも、十分トレーニングにはなりそうですよね。
参考
[1]7つのツール:「なぜではなく何」「比較と対比」「リフレーミング」「一時停止」「思考停止」「事実確認」「ソリューション・マイニング」
[2]この部分は、ぜひ本書を読んで確認していただければと思う。「愛のない批判者」(あなたのすることすべてを批判する人)でも「無批判な熱愛者」(自分の母親や怯える部下など)でもなく、正直でかつ本当にあなたのことを思ってくれる相手を著者は「愛ある批判者」と定義している
[3]3Rモデル:受け止め(Reveive)、向き合い(Reflect on)、行動に移す(Respond)
[4]3つのタイプ:①無駄骨、②分かっているが気にしない、③誘導可能
[5]9つの訓練:①断罪することなき思いやり、②無抵抗に流される、③リフレーミング、④こいつから学ぶことはないか、⑤ラフトラック、⑥要求を主張する、⑦明確な境界線、⑧撤退する、⑨思いやりを持って向き合う
insight(インサイト)もくじ
第1章 二一世紀のメタスキル
<第1部 基礎と障壁>
第2章 自己認識の解剖学―インサイトを支える七つの柱
第3章 ブラインドスポット―インサイトを妨げる目に見えない心のなかの障壁
第4章 自分教というカルト―インサイトを阻む恐ろしい社会的障壁
<第2部 内的自己認識―迷信と真実>
第5章 「考える」=「知る」ではない―内省をめぐる四つの間違った考え
第6章 本当に活用可能な内的自己認識ツール
<第3部 外的自己認識―迷信と真実>
第7章 めったに耳にしない真実―鏡からプリズムへ
第8章 予想外の厳しいフィードバックを受け止め、向き合い、行動に移す
<第4部 より広い視点>
第9章 リーダーがチームと組織の自己認識を高める方法
第10章 思い込みにとらわれた世界で生き抜き成長する ←ここ