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6つの問いから自分の価値観を見直す

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読書感想
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2020年12月に読んだ本のなかで、自分の価値観を見直すきっかけになる6つの質問を与えてくれた本を共有します。強制的な環境の変化にさらされた2020年でしたが、自分自身の核となる価値観に、変化はあったのでしょうか。

「パラダイムシフト 新しい世界をつくる本質的な問いを議論しよう」ピョートル・フェリクス・グジバチ (著)

この本で使用される「パラダイム」という言葉は、トーマス・クーンの提唱した概念を拡大し、現在一般的に使用されている「思想や価値観」「社会観念」という意味です。

自分の意見を用意

著者が、様々な会社の社長や特定の分野で第一人者と呼ばれる人にインタビューした内容を基礎として、そこに著者の生き方や考え方に対する意見を盛り込んだ内容になっています。
面白くてためになる話は色々でてくるのです。でも扱っているテーマが大きく、各人に対するインタビューが消化不良で、全体的なまとまりに欠ける印象でした。

サラッと読むと、読み手は、なんとなくいい話を読んだな、で終わってしまって、ほとんど記憶に残らないかもしれません。この本は、各章に設定された問いに、自分自身の答えを用意してみることで、理解が深まります。

一部だけでも良いので、目次を見て興味を惹かれた部分だけ、自分の意見を用意してから、読んでみることもできます。

以下は、各章から私が印象に残った一文の引用したものと、設定された問いに対する自分の答えです。

序章の問い 価値

ソニーコンピュータサイエンス研究所の船橋真俊さんの寄稿「表土とウイルス」を読んで感銘を受けました。ウイルスの立場から言うと、人間がほかの生物を減らしてきているせいで、居場所がなくなってきています。だから人間に居場所を移したのは自然なこと。進化するウイルスに対抗するのに、もちろんワクチンも大切だけれど、我々自身の免疫力を上げることも大切で、そのためにいちばんいいのは土や海だ、と。ウイルスは生物多様性の中に置かれると、すぐになくなってしまうそうです。

Interview1投資家が描くこれからの世界の共生、共感、優しさ/あすかホールディングス株式会社取締役会長 谷家衛さん「パラダイムシフト 新しい世界をつくる本質的な問いを議論しよう」ピョートル・フェリクス・グジバチ (著)

「表土とウイルス」は英語フランス語中国語にも翻訳されていました。

あなたにとって価値あることって、なんですか?
そのために日常生活でどんな選択をしていますか?

私にとって価値あることとは、心の平安を保つこと。若い頃は新しい刺激を常に求めることが楽しかったけれど、ある瞬間につきものが落ちるように、そんな生活が空虚だと感じるようになっていた。

そのため日頃から、過度な情報収集は避けている。(TV、YouTube、インターネットなど、明確な目的もなく使用することを避ける)

第1章の問い パラダイム

今、私たちは、現代では誰も経験したことのない惑星レベルのリスクに直面しています。しかし、「テールリスク」と呼ばれるこの壊滅リスクは非常にわかりにくい。だから人々は無視するか、考えたくないという態度をとっています。私の考えでは、人類を一掃する可能性のある最大のリスクは、①生物学的リスク、②AI、③未知の未知、の3つ。

Interview2-囲碁AIの投資家が警鐘する人類を一掃するテクノロジーリスク/元エストニア大統領学術顧問 Jann Tallinnヤン・タリンさん「パラダイムシフト 新しい世界をつくる本質的な問いを議論しよう」ピョートル・フェリクス・グジバチ (著)

アフターコロナには視覚と聴覚はコモディティ化して価値が薄れていき、再現の難しい味覚や嗅覚など、バーチャルファーストで解決しない部分がリアルの中で勝ちを持ってくる。リアルでモテる人は、見た目がカッコイイ人ではなく、いい匂いがするとか料理がうまい人、ということになるかもしれませんね。

Interview3-ゲーミング業界をリードする投資家が描くバーチャルファーストの未来/株式会社gumi取締役代表 國光宏尚さん「パラダイムシフト 新しい世界をつくる本質的な問いを議論しよう」ピョートル・フェリクス・グジバチ (著)

 エクスポネンシャル(指数関数的)に変わる世の中では、ほんの数日でも思考停止してしまうと痛い目に遭う。自己認知力を鍛え、自分の軸を常に問いながら、ショック時には柔軟に考え、アクションをとれる訓練を常にやっていかなければいけない時代だと思います。
 自己認知や軸を鍛え、また柔軟性を養うためには、教育が欠かせません。

Interview4-ベンチャーキャピタリストが問う人としての幸福追求/フレスコ・キャピタル ゼネラルパートナー 鈴木絵理子さん「パラダイムシフト 新しい世界をつくる本質的な問いを議論しよう」ピョートル・フェリクス・グジバチ (著)

あなたにとって「なくしたいパラダイム」
「遺したいパラダイム」「創造したいパラダイム」は、なんですか?

1.なくしたい=大量生産、大量消費が美徳である、貧困問題を自己責任として処理すること、国家の貨幣発行独占
2.遺したい=多様な言語と文化価値
3.創造したい=尊厳死が認められる、老いを病気ととらえる

*パラダイムの意味を価値観と読み替えて考えました。

第2章の問い バイアス

あなたのパラダイムシフトを阻むバイアスは何ですか

メタ認知が苦手なこと。分からないことが分からないこと。一般教養に欠けていること

第3章の問い エネルギー

あなたの中で最も強いエネルギーは何ですか

自由でありたいという気持ち

第4章の問い 価値のある学び

エクスポネンシャル(指数関数的)に変わる世の中では、ほんの数日でも思考停止してしまうと痛い目に遭う。自己認知力を鍛え、自分の軸を常に問いながら、ショック時には柔軟に考え、アクションをとれる訓練を常にやっていかなければいけない時代だと思います。

Interview4-ベンチャーキャピタリストが問う人としての幸福追求/フレスコ・キャピタル ゼネラルパートナー 鈴木絵理子さん「パラダイムシフト 新しい世界をつくる本質的な問いを議論しよう」ピョートル・フェリクス・グジバチ (著)

これまでの人生で最も価値のある学びは何でしたか

ひとつに絞れないなぁ。これまでのところは、結婚と離婚。一人で海外旅行をしたこと。海外で働くことを決めて実践したこと。読書会を2011年から毎月1回継続していること。

第5章の問い 自分の役割

あなたの周りにいる家族や恋人友人や同僚はあなたとの関係に何を期待していると考えますか。そしてあなたが自覚するあなたの役割は何ですか

わたしが元気に生きていること以外には、特に期待されていないと思う。自分自身が自覚していることは、みんなが困っている時に、何らかの手助けができる役割ができたら良いと考えていますね。

第6章の問い 生きる意味

あなたにとって生きる意味とは何でしょうか

私が生まれたことは偶然に過ぎないと考えているため、そこに特別な意味を見つけようとはしていません。ほとんど全ての動植物は生きる意味など考えておらず、私も彼らの仲間だと考えるからです。これが本音。建前としては、人間として生まれて、この社会に適合する必要があるので、可能な限りにおいて、自分の尊敬できる人の生き方から学び、できることやり、後悔せず安楽に死ぬことが生きる目的になるかな。

まとめ

こんな感じで、自分の意見を用意してみると、各章で語られている内容に対して、「なるほど!私もそう思う」と共感することもできるし、「いや、私はそう思わない」と反発することもできるので、より深く楽しめますよ。

2020年は世界中で、価値観が激変した年でしたが、私自身の核となる部分に大きな変化はありません。2021年も、淡々と、日々自分にできることをコツコツやるだけです。

参考

アメリカの科学史家クーンが著書『科学革命の構造』The Structure of Scientific Revolutions(1962)で特殊な用い方をした単語およびその概念。ことばとしては、辞書によれば範例とか模範という訳があり、また文法の語形変化の例として用いられるが、クーン以来、学界・思想界で彼の用い方が広く使われて今日に至っており、日本では訳語をあてず、パラダイムのまま通用している。
クーンによれば「パラダイム」とは「広く人人に受け入れられている業績で、一定の期間、科学者に、自然に対する問い方と答え方のモデルを与えるもの」とされる。

“パラダイム”, 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-01-07)

クーンのパラダイム概念は《科学革命の構造》の初版で提案されたが,上のような定義からくる曖昧さ--例えば科学者の共同体の規模をどの程度にとるかによっては,パラダイムは具体的な一つの狭い理論でもありうるし,あるいは,その時代の〈時代精神〉とでも呼ぶしかない広範なものでもありうることになる--を批判されたため,同書第2版では,パラダイムを〈学問母型disciplinary matrix〉に置き換えて,概念の整理を図ろうとした。しかし70年代に入って,おりしも異文化的方法論ethnomethodologyが隆盛となり,単に民族文化の比較においてのみならず,従来は連続的な発達・発展と考えられてきた個人や社会の歴史についても,非連続的な異文化の並列--例えば個人についていえば,発達心理学を排して,子どもと大人とをお互い異文化に属するものとして扱おうとする--と考える発想を後ろ盾として,パラダイムは,さまざまな領域でさまざまに利用され,ひとり歩きを始めている。その意味では,パラダイム論にはレビ・ストロース以降の構造主義的な発想とも呼応するものがあり,クーンの手を離れて,概念的にも実際上も豊かな可能性を開きつつある反面,俗用場面も拡大されているといえよう。

“パラダイム”, 世界大百科事典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-01-07)

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