土曜の午後８時

本を読むと決めていたので、土曜はとにかく頑張って読んでいた。相変わらず洋書を読むスピードは遅いのだけれど、いま読んでいる「ファクトフルネス」は私にとっては、比較的読みやすいほうだ。作品にもよるけれど、小説は本当に難しいことが良く分かった。でも、ビジネス書なら、難解な言い回しや難しい単語も少ない。書かれている内容がいかにしっかりと読者に伝わるかを目的にしているのだから、当然かもしれない。それでも、意味を調べてメモを取りながら読んでいると、１章を読むのに半日かかった。読み終えたら、マッサージに行くことを自分へのご褒美にして読書していたので、午後８時だったけれど、支度をしてコンドミニアムを出た。ここから西へ向かって徒歩５分（コンドミニアムのエレベーター待ち時間を入れると１０分以上かかる可能性もある）のスパに１月は２回行った。１回目は、とりあえず試しに行った感じだったが、指圧式とスウェーデン式のコンビネーションマッサージを１時間350ペソで受けて、かなりお得だったので、２回目も先週の金曜の仕事帰りに髪を切ってもらった後に同じマッサージを受けたのだ。（本当は指圧だけのマッサージを指定したつもりだったが、受付の女性が先週のことを覚えていたのか、このときもコンビネーションになっていた。値段は変わらないんだけど、違いを確認したかったんだよな。まぁいいけど）１回目は土曜の夕方で、２回目は金曜の夕方だった。どちらもマッサージを受けている人はいなくて、ちょっと不安になったのだが、施術も良いし、値段も手ごろなので、きっと空いている時間帯なのだろうと解釈していた。本当は、もう少し離れた場所にある韓国式マッサージも気になっているのだが、夜８時過ぎに初めての場所に一人で行くのは、まだ少しこわい。なので、３回目になるが、分かっているスパに行くことにした。エレベーターで1階に降りて、タリーズコーヒーの角を曲がると行く手に緑、黄、赤の大きなコンテナボックスが並んでいる。ごみ集積のコンテナだ。その向こうに土砂を積むようなトラックが止まっていて、荷台で誰かが作業をしているのが暗がりで見える。近づいて、下から見上げるとトラックの上でゴミの積み下ろしをしている人の足が棒のように細く、どうも10代前半の少年にしか見えないことに気づく。なんとも言えない複雑な気持ちになりながら、トラックの横を通り過ぎて、マッサージパーラーに行き、タイ式のマッサージを1時間受けてきた。最初は指圧式マッサージを受けようと思っていたのだがメニューをみて、やはり受けてないものにチャレンジするべきだろうと考えて、100ペソ値段は上がるが試してみた。結果は、まぁ、悪くはないけれども、コンビネーションマッサージの方がお得感はあるかなってかんじ。なんか時間が短い気がすると思ったら、やはり1時間のはずだったのに、なぜか50分になっていて、でも料金は変わらず450ペソだった。あれ？と思ったけど、お腹も減っているし、交渉するのも面倒だし、もうタイ式は受けないからいいや、と思って店を後にした。このマッサージパーラーからさらに西に1分ほど歩くとローソンとセブンイレブンがあって、ここも今では行きつけになっている。でもローソンのお弁当は買ったことがなかったので、ここも試してみることにした。パッケージに29ペソオンリーって書かれていたので、やけに安いなと思ったけど、レジでお金を払ったら69ペソだった。69ペソだって安すぎるくらいだし、払えないわけじゃないから、別にいいんだけど、パッケージの表示がホントに分かんない。お弁当とサラダとデザートを買っても全部で147ペソだ。それにしても、私の前にレジに並んでいた女性は、何を話していたんだろう。服装はきれいだったけど、レジの人の態度からすると、物乞いだったのかもしれない。彼女には、うっとうしそうにあしらっていたけれど、私に対しては一転してにこやかに対応してくれたから余計に不思議な気持ちになった。タガログ語、やっぱり最低限は必要だよなぁ。部屋に戻って食事をしながら、暗闇で働いていた少年の細い脚が目の前にちらつく。この国の児童労働に対する規制ってどうなっているんだろう。ゴミはここからどこへ持っていかれ、どうやって、誰が処理するんだろう。最近、マニラ湾の汚染問題で操業停止になった企業があると報道されていた。しかし、マニラ湾に注ぐ川の汚染が激しく、その浄化が後手に回っているという記事も読んだ。土曜の夜9時半。これまで出歩かない時間帯に、ちょっと外出しただけで、こんなに頭が混乱するなんて、日本にいては味わえない感覚だ。楽しいとは言えないけれども、自分が見たいものだけをみて、思考停止に陥るようなことだけには、なりたくないと思う。