朝の通勤途中に見かけた風景です。
黒っぽい膝丈までのワンピースをきて、大きな麦わら帽子をかぶった30代前半と思われる長い髪の女性が左手を五歳くらいの女の子とつないで、右の道から歩いてきて、
私の前を横切りました。スリングでお腹に赤ちゃんも抱っこしているようで、右手に大きなバックを持って、先を急いでいる様子です。
若いお母さんは、小さな娘さんにイライラしながら大きな声でお小言を言っています。
「どうして昨日の夜にやっておかなかったの」
「やってないでしょう?」
「毎日じゃないの」
「やりなさい、って言ったでしょう?」
「あなたのせいで30分遅くなっちゃうのよ」
「分かってるの?」
女の子は、お母さんを見上げて何かを答えたあと、振り返って私を見ました。目が合ったとき、彼女は不思議そうに私を見てましたね。
私は笑っちゃいけない、と思いつつも、自分が子どもの頃に母に叱られていた状況とシンクロしてしまい、満面の笑みになっていました。
きっと、あの子は、このおばちゃんなんで笑ってるのって思ったかもしれない。ごめんね。
ただ懐かしかっただけなんだよね。
お母さんやお父さんに怒られる子どもたちを見るのが楽しいわけじゃないんです。
私は心の中で、「ママ、そんなに怒らないで。私、悲しくなっちゃうから。今度から気をつけるから。怒らないで」って、あの子の代わりに言ってたの。
自分自身が子どもだったころに、言えなかったこと。