フィリピンの発展を阻むのは、政治家の悪さだけではないと思ったもんざです。
マニラでは、2025年末から架空の治水工事発注に関わる汚職事件で大規模なデモが起きました。
フィリピン人の同僚と話していると、「政治家が悪い」という声も聞きます。
でも私には、もっと構造的な問題がある気がしています。
十分な市民教育が行われず、優秀な人材は海外へ流出する。
貧富の差は激しく、富裕層や官僚が財政を私有化している。
昨年10月に清水透さんの「ラテンアメリカ500年」を読み、植民地化されていた国の発展が遅れる複雑な状況を知りましたが、フィリピンでも似たような状況にあるように思います。
ゲルナーの第十章を読み終えたら、その構造の根っこが少し見えた気がしました。
進捗報告
「民族とナショナリズム」岩波書店 アーネスト ゲルナー (著), 加藤 節 (監訳)
今回は第十章「結論」から印象に残ったところを共有します。
ここは、章タイトルのとおり、本書の結論です。
要点がぎゅっとまとまっているので、ここを丁寧に読めばゲルナーの主張は理解できます。
引用「本書で主張されていることは、ナショナリズムがきわめて特殊な種類の愛国主義であり、実際のところ近代世界でしか郵政とならない特定の社会条件の下でのみ普及し支配的となる愛国主義だということである」
そして民族原理の歴史についてゲルナーは分かりやすいイメージを読者に示します。
2.シンプルな輪郭で人物を描くモジリアニの絵(近代世界の民族・政治地図)
1は多彩な点がちりばめられて多様性があるけれども、2は境界線がくっきり存在します。
民族とナショナリズムが生まれ、意識されるのは、2の場合だけです。
引用「読み書き能力はもはや専門的能力ではなくなり、誰もが専門家であるような社会でのあらゆる専門の前提条件にすぎない。そのような社会では、個人の主要な忠誠心は、われわれの読み書き能力の媒体に、そしてその政治的保護者へ向けられる。神に対する信者の平等なアクセスが、結局、教育と文化とへの不信仰者の平等なアクセスとなるのである」
つまり、読み書きができることが市民の最低条件となった社会では、その言語と教育制度を管理する国家への帰属意識が自然と生まれる、ということです。
私は、これまで国家が母語を教育プログラムとして全国民に浸透させるのは当然だと考えていました。
その考えはこの本を読んでも変わりません。
しかし、その社会のしくみには排外主義を生み出す構造があるという認識を得られたのは大きな成果でした。
ナショナリズムは消せないかもしれない。しかし、それがどのような形で現れるかは、制度と私たちの態度次第なのだと思います。
今日も読んでくださってありがとうございます。
明日もどうぞよろしくお願いします。
参加者(4名)
- もんざ「民族とナショナリズム」岩波書店 アーネスト ゲルナー (著), 加藤 節 (監訳)
- Treeさん「22世紀の資本主義 やがてお金は絶滅する」 (文春新書) 成田 悠輔(著)
- 黒猫のみっつさん「マンガでわかる 「だまされない」お金の増やし方 思考停止でも月10万円受け取り続ける投資術」KADOKAWA 鳥海 翔 (著)
- maru まるさん「「好き」を言語化する技術 」 (ディスカヴァー携書) 三宅香帆 (著)
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共有予定の本
ナショナリズムの本質は何か。この難問に、英国哲学界の巨人ゲルナーが、政治社会学、社会人類学などの該博な知識を駆使して解明を試みる。「第一級のナショナリズム研究書」として高く評価されてきた名著の翻訳。
「民族とナショナリズム」岩波書店 アーネスト ゲルナー (著), 加藤 節 (監訳)
株価も仮想通貨も過去最高額を更新、生成AIの猛威が眼前に立ち現れ、かつてなく資本主義が加速する時代。この先、お金や市場経済はどこへ向かうのか?この先数十年から百年かけて起きる経済、社会、世界の変容を大胆に素描。人の体も心も商品化される超資本主義の行き着く果てに到来する「測れない経済」。そこに出現する「お金が消えてなくなったデータ資本主義」は人類の福音となるか?「22世紀の資本主義 やがてお金は絶滅する」 (文春新書) 成田 悠輔(著)
全世界株式(オルカン)一本で、放っておいても増えていく!堅実に、確実に資産を増やしたい人のための、今すぐ始められる投資術。難しい知識は必要なし!情報におどらされず、惑わされず、”思考停止”で運用することが、お金が増える近道となる。「マンガでわかる 「だまされない」お金の増やし方 思考停止でも月10万円受け取り続ける投資術」KADOKAWA 鳥海 翔 (著)
本書は、アイドルと宝塚をこよなく愛する著者が、書評家として長年培ってきた文章技術を「推し語り」に役立つようにまとめた1冊です。「「好き」を言語化する技術 」 (ディスカヴァー携書) 三宅香帆 (著)
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