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読書会まで4日/重要なのはメディア

9. 読書会(勉強会)
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スポーツはやっぱり国に紐づくんだな、と思ったもんざです。
 
2024年8月のパリ五輪で、初めてフィリピン男子に金メダルをもたらしたカルロス・ユーロ選手の記事を読みました。
マニラで日本人コーチに才能を見いだされ、日本で修行して金メダルを取った彼はフィリピンではCMにも出る有名人になっています。
 
誰かが意図して作り出しているわけでもないのに「われわれフィリピン人」「われわれ日本人」という感覚が醸成されていく。
フィリピン人選手や日本人選手が金メダルを取った瞬間、その国の人々が歓喜する。
この「われわれ」という感覚はどこからくるのか。
なぜだろうな、と思っていたのですが、ゲルナーの九章を読んで、その仕組みが少し分かった気がしました。
 
引用「多くのフィリピン人が国際レベルで戦えるようになったことを、本当に嬉しく誇りに思います。もっと多くのフィリピン人が活躍してくれることを願っています。スポーツを通してフィリピン精神を示していきましょう」とユーロ氏は語った。(原文“I’m just really happy and proud because a lot of Filipinos are now able to compete at the international level. I hope there would be more of us. Let us show the Filipino spirit in sports,” said Yulo.)
[Carlos Yulo hopes to pick the brain of fellow PSA Athlete of the Year Alex Eala](https://www.rappler.com/sports/carlos-yulo-alex-eala-athlete-of-year/)
[フィリピンに体操で金 ユーロ、日本人の恩師にささぐ – 日本経済新聞](https://www.nikkei.com/article/DGXZQODH040J70U4A800C2000000/)
[日本で「東京」めざす海外アスリート メダル候補も – 日本経済新聞](https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43462530Y9A400C1UP2001/)

進捗報告

わたしが今月みなさんと共有するのは、こちらです。

「民族とナショナリズム」岩波書店 アーネスト ゲルナー (著), 加藤 節 (監訳)

今回は第九章「ナショナリズムとイデオロギー」から印象に残ったところを共有します。


この本では、ナショナリズムの観念の歴史や、個々のナショナリストたちを比較検討していません。その理由が本章で解説されます。

結論としては、著者がそれをやってもナショナリズムの本質をつかめないと考えているからです。


よくある勘違いが整理されていたのが分かりやすかったです。

◆ナショナリズムの誤った4つの理論
1.自己発生する(しないのは抑圧されているから)
2.観念の人為的な帰結(不測の出来事で発生)
3.「宛先違い」の理論(歴史の精神OR人間の意識がミスをした)
4.暗い神々(先祖の血や土の力の再出現)

4はナチスドイツが利用した理論ですが、このイメージに引きずられる人は多そうです。


念のために補足すると、これらは全て誤った認識であることを著者は説明しています。

引用「一般的に言って、ナショナリズムのイデオロギーは、広汎な虚偽意識に侵されている。ナショナリズムの神話は現実を逆さにしてしまう」

では何がナショナリズムを生み育てるのか。

引用「重要なのはメディアそれ自体なのである。つまり、問題は、その浸透性や、抽象的で集権化され、標準化された一から多へのコミュニケーションの重要性であり、伝達される個々のメッセージの中に、何が具体的に含まれるかといったことに関係なく、そうしたコミュニケーションそのものが自動的にナショナリズムの中心的な観念を生み出すのである」

例えば日本なら、テレビ、新聞、学校教育といった全国規模の標準化されたコミュニケーション網がイメージされるでしょう。


日本語が標準語で語られ、それを理解できる人が、道徳的で経済的な日本という共同体に加われるという暗黙だけれども強力なメッセージが、観念を生み出し伝播していく、という感じですね。

つまり、ナショナリズムは誰かの悪意や陰謀によって生み出されるのではなく、近代的なマスメディアの構造そのものから自然に立ち上がるということなのかもしれません。

フィリピンでも、SNSや英語教育といったメディアが、が標準化されたコミュニケーションを通じて、自然とその感覚を育てていくのかもしれません。

今日も読んでくださってありがとうございます。
明日もどうぞよろしくお願いします。

参加者(4名)

  1. もんざ「民族とナショナリズム」岩波書店 アーネスト ゲルナー (著), 加藤 節 (監訳)
  2. Treeさん「22世紀の資本主義 やがてお金は絶滅する」 (文春新書) 成田 悠輔(著) 
  3. 黒猫のみっつさん「マンガでわかる 「だまされない」お金の増やし方 思考停止でも月10万円受け取り続ける投資術」KADOKAWA 鳥海 翔 (著) 
  4. maru まるさん「「好き」を言語化する技術 」 (ディスカヴァー携書) 三宅香帆 (著)

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共有予定の本

ナショナリズムの本質は何か。この難問に、英国哲学界の巨人ゲルナーが、政治社会学、社会人類学などの該博な知識を駆使して解明を試みる。「第一級のナショナリズム研究書」として高く評価されてきた名著の翻訳。
「民族とナショナリズム」岩波書店 アーネスト ゲルナー (著), 加藤 節 (監訳)

 

株価も仮想通貨も過去最高額を更新、生成AIの猛威が眼前に立ち現れ、かつてなく資本主義が加速する時代。この先、お金や市場経済はどこへ向かうのか?この先数十年から百年かけて起きる経済、社会、世界の変容を大胆に素描。人の体も心も商品化される超資本主義の行き着く果てに到来する「測れない経済」。そこに出現する「お金が消えてなくなったデータ資本主義」は人類の福音となるか?「22世紀の資本主義 やがてお金は絶滅する」 (文春新書) 成田 悠輔(著) 

 

全世界株式(オルカン)一本で、放っておいても増えていく!堅実に、確実に資産を増やしたい人のための、今すぐ始められる投資術。難しい知識は必要なし!情報におどらされず、惑わされず、”思考停止”で運用することが、お金が増える近道となる。「マンガでわかる 「だまされない」お金の増やし方 思考停止でも月10万円受け取り続ける投資術」KADOKAWA 鳥海 翔 (著)

 

本書は、アイドルと宝塚をこよなく愛する著者が、書評家として長年培ってきた文章技術を「推し語り」に役立つようにまとめた1冊です。「「好き」を言語化する技術 」 (ディスカヴァー携書) 三宅香帆 (著)

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